「筋トレを毎日してはいけない」というのが世間でも常識となりつつある一方で、「パワーリフターやウェイトリフターはほぼ毎日トレーニングしている」というのもまた事実です。
結局のところ、適切な筋トレの頻度はどのくらいなのでしょうか?
適切な筋トレ頻度は目的によって違う
適切な頻度はトレーニングをする目的によって異なります。筋量増加が目的なのか、ダイエットが目的なのか、はたまたベンチプレスなどの記録を伸ばすことが目的なのか。そこをはっきりさせないことには答えは出ません。
ここではいくつかの目的別に適切なトレーニングの頻度について考えてみます。
筋量を増やすことが目的の場合
目安:各部位週2~3回
筋量を増やしたい場合、トレーニングのボリュームを増やすことが目的となるため、多少頻度を低くすることは気にしません。その分回復させて、次のトレーニングで前回のボリュームを確実に上回ることを目指します。
では、具体的にはどれくらいの頻度で行えば良いのでしょうか。このことはトレーニング後に体内で起こる反応を考えれば分かります。トレーニングをすると、筋タンパク合成は48時間ほど高い状態が続き[1,2,3]、その間に適切な栄養摂取を行うことで筋肉が成長します。つまり、48時間以内に同一部位をトレーニングするのは意味がありません。
また、トレーニングには筋タンパクの合成を盛んにするというプラスの面もある一方で、筋肉を分解するホルモンである「コルチゾル」の分泌を増やしてしまうというマイナスの面も合わせ持っています。トレーニングとは少し違いますが、ラグビー選手を対象に試合後に血液検査を行ったところ、なんと60時間後も34%増加したままであったとする研究[4]があります。
このことから、トレーニング後も一定期間はコルチゾルの分泌が高まってしまうと考えて良いでしょう。そのため、少なめに見積もっても中2日程度は間隔を空けてトレーニングをした方が良いと考えられます。
つまりは「中2日で週2~3回トレーニングを行う」というのが筋肥大においては理想的だと考えられます。
ダイエットが目的の場合
目安:各部位週1回以上、全体で週3~5回
ダイエットにおいては、筋量をできるだけ維持しながら体脂肪を減らすことが目的となります。その場合トレーニングによる体脂肪燃焼効果を得たいので、できるだけ高頻度でトレーニングする方が有利となります。
可能であればボディーパート毎にトレーニング日を分けて、週全体のトレーニング回数を増やしましょう。週3~5回程度を目安にトレーニングを行うのが良いでしょう。
また、ダイエット中はアンダーカロリー状態で身体の回復力が落ちているので、オーバートレーニングには気を付ける必要があります。これは回数を減らして重量を増やし、「トレーニングの質」を高めることで対処します。
ベンチプレスなどの記録向上が目的の場合
目安:ほぼ毎日
この場合は、上の2つとは方向性が大きく異なります。種目の記録向上を目指す場合は、「神経系の改善」が一番の目的になります。
神経系の改善は、1~3RMといった高負荷低回数でのトレーニングが効果的です。これにより中枢系の抑制が低減され、発揮できる最大筋力を高めることができます。この場合筋肥大が目的ではないのでボリュームはそこまで必要なく、無理に追い込む必要もありません。
また、ネガティブ刺激も少ないため筋肉へのダメージが少ないこともあり、回復にあまり時間がかかりません。そのため、ほぼ毎日という高頻度でトレーニングを行うのが有利ということになります。
また、記録の向上にはその種目の理想的なフォームを習得することも重要であり、その点でも高頻度でトレーニングを行うことは有利に働きます。疲労の蓄積や怪我には気を付けつつ、可能な限り高頻度で行うのが良いでしょう。
まとめ
理想的なトレーニング頻度は、目的によって様々です。また、当然ですがその人の持つ回復力によっても変わってきます。
例えば、筋肥大を目的とするのであれば、基本的には各部位週2〜3回程度鍛えるのが理想的ですが、その頻度では回復が追い付かないと感じるようであれば頻度を落とすべきです。
ダイエットや記録向上を目的としたトレーニングに関しても同様で、理想的な頻度は理解しつつ、自分の回復力に合った頻度でトレーニングを行うことを心がけましょう。