プロテインは原料によって種類が分かれていますが、主に使われているのはホエイ、カゼイン、ソイ、そしてこれらをブレンドした混合プロテインです。
ここではそれぞれの特徴や効果などについて詳しく見ていきましょう。
プロテインの種類
プロテインの中でも特にメジャーな4種類を紹介しておきます。
ホエイプロテイン
ホエイプロテインは牛乳を原料として作られたプロテインです。ヨーグルトの容器の蓋を開けると上澄み液が溜まっていますが、あれがまさにホエイです。
ホエイにはBCAAが多く含まれており筋量増加に効果的であるほか、システインというアミノ酸を多く含んでいるため免疫を高めてくれる効果もあります。
ホエイは吸収が速いのが一番の特徴で、摂取してから60分ほどで血中アミノ酸濃度はピークを迎えます。下の図はホエイとカゼインを摂取したときの血中アミノ酸(ロイシン)濃度の時間経過を比較したものです。△がホエイ、●がカゼインを表しています。

出典「Slow and fast dietary proteins differently modulate postprandial protein accretion.Proc Natl Acad Sci U S A. 1997 Dec 23;94(26):14930-5.」
確かにホエイ(△)は血中アミノ酸濃度が急上昇し、約60分後に高いピークを迎えていることがわかります。このような血中アミノ酸濃度の急上昇はインスリンの反応を強く引き出すため、アナボリック作用が強くなります。
この特徴から、ホエイプロテインはトレーニング直後のタンパク質の摂取に最適だと言えます。身体が最もタンパク質を必要としているゴールデンタイムを逃さずに、筋肉にタンパク質を届けることができるからです。
その他にホエイプロテインの摂取が効果的な時間帯としては、起床直後とトレーニング前が挙げられます。起床直後に摂取することで、寝ている間栄養が補給出来ずカタボリックになってしまった身体を、一気にアナボリックな状態に持っていくことができます。
さらに、トレーニング前に摂取することで、血中アミノ酸濃度が高い状態でトレーニングを行うことができ、筋肉が分解されてエネルギーとして使われることを防いでくれます。
カゼインプロテイン
カゼインも牛乳原料のプロテインです。カゼインは牛乳に含まれるタンパク質のうち約80%を占めています。先ほどの図を見るとわかるように、ホエイプロテインに比べて吸収は遅い代わりに持続力に優れているのが特徴です。
ホエイと違ってアナボリックを促進する作用はあまりありませんが、7~8時間ほどに渡り血中アミノ酸濃度をキープしてくれるため、カタボリックを防ぐ作用があります。そのため、就寝前や間食での摂取に適しています。
ソイプロテイン
ソイプロテインは大豆を原料としたプロテインです。ソイプロテインには十分なBCAAとグルタミンが含まれており、アナボリック効果としてはホエイに及ばないものの、十分な筋発達効果を有しています。
また、ソイプロテインにはホエイプロテインにはない強みがあります。それは「アルギニンが多い」ということです。アルギニンは健康にとっても筋発達にとっても非常に重要なアミノ酸ですが、ホエイプロテインはこのアルギニンが少ないのです。

出典「Ingestion of whey hydrolysate, casein, or soy protein isolate: effects on mixed muscle protein synthesis at rest and following resistance exercise in young men. J Appl Physiol (1985). 2009 Sep;107(3):987-92. 」
ソイプロテインの原料である大豆は「メチオニン」というアミノ酸が少ないためプロテインスコアが低いという問題点がありますが、ほとんどのソイプロテインは製造段階でメチオニンを添加してスコアを100にしてあるため、その点は問題ありません。
吸収の速さはホエイとカゼインの中間程度です。
混合プロテイン
最近ではホエイやカゼイン、ソイなどを混合したハイブリッド型のプロテインも売られています。主な狙いはタイムリリース効果で、吸収速度の異なるプロテインを組み合わせることにより、即効性と持続性を両方得ようというものです。
これは確かに理にかなっており、海外メーカーのプロテインは現在このタイプがほとんどです。それぞれの原料に不足している必須アミノ酸を補い合うという意味でも効果的な方法ですし、これから国内でも主流になっていくかもしれません。
おすすめはホエイプロテイン
どれか1つ選ぶということなら、やはりホエイプロテインをおすすめします。これは様々な研究結果から、ホエイプロテインの筋量増加の効果が最も高いと考えられるからです。
- 10週間に渡ってトレーニングしながらホエイプロテインあるいはカゼインプロテインを摂取したところ、ホエイプロテインの方が除脂肪体重と筋力を大きく改善していた。[1]
- トレーニング前にプロテインを飲むことにより、筋肉を分解する作用のあるコルチゾルというホルモンを減らすことができ、同時にテストステロンのレベルを高くすることができていた。ソイプロテインではこの作用は得られなかった。[2]
- ホエイプロテイン(WPH)とカゼイン、大豆プロテインを比較した研究では、ホエイプロテインが最大のタンパク合成効果を示した。[3]
このようにホエイプロテインの効果を示す研究は多く、どれか1つ選ぶならやはりホエイプロテインがおすすめです。
混合プロテインの方がホエイプロテインよりもトレーニング後のタンパク合成を促進するという研究報告もあるにはある[4]のですが、そもそも混合プロテインの方がタンパク質摂取量が多かったりと混合プロテインが有利になるように実験が行われており、判断が難しいところです。
しかし、混合プロテインを摂るデメリットというのもさして見当たらないので、好きな方を選べば良いと思います。混合プロテインなら就寝前の摂取も一応ケアできますが、やはり万全を期すなら結局はカゼインプロテインを追加購入するのが良いでしょう。
まとめ
主なプロテインの種類としてはホエイ、カゼイン、ソイ、そしてそれらをブレンドした混合プロテインがあります。それぞれにメリット・デメリットがありますが、どれか1つ買うならホエイプロテインがおすすめです。
もし就寝前の摂取に万全を期したいならカゼインプロテインを追加購入するか、混合プロテインをメインに据えると良いでしょう。
ホエイプロテインなら「ビーレジェンド」が味・価格ともにおすすめ。私は南国パイン味がお気に入りです。
国産の混合プロテインだとウィダーのマッスルフィットプロテインがありますが、カゼイン独特のぬめりが強くて飲みにくいのでおすすめしません。海外メーカーにはなりますが、マッスルファームの「コンバット」はおすすめです。