トレーニングにはいくつかの原則が存在しますが、その中でもとりわけ重要なのがこの「漸進性過負荷の原則」です。この原則をしっかり理解していれば、効果のよくわからない「ファンクショナル」を謳ったトレーニングなどに時間を費やしたりすることはなくなります。
この記事では、漸進性過負荷の法則とはなんなのか、詳しく解説していきます。
漸進性過負荷の原則とは?
トレーニングをする目的がなんであれ、トレーニングを効果的に行うためには守るべき「原則」が存在します。その中でも一番重要なのが「漸進性過負荷の法則」です。トレーニングにおいては、種目・重量・回数・セット数等、多くの変数が存在しますが、「漸進性過負荷の法則」にしたがって考えていけば自ずとするべきトレーニングが見えてきます。
「漸進性過負荷の原則」という言葉は、「漸進性の法則」と「過負荷の法則」の2つに分けて考えることができます。
過負荷の原則
過負荷の原則とは、「狙った適応(筋肥大、筋肉の向上等)を起こすためには、身体が日常受けている刺激を超える刺激(=過負荷)が必要だ」という原則です。ここで言う「日常受けている刺激」というのは必ずしも安静にしている状態で受ける刺激のことではありません。
例えば、日常的に週2回ベンチプレスを80kgで10回×3セット行っている人の場合、「週2回ベンチプレスを80kgで10回×3セット」というのが「日常受けている刺激」ということになります。したがって、過負荷を与えるためには重量・回数・セット数・頻度等の変数を変えてやる必要があります。
具体的には、重量を80kg→85kgに増やす、セット数を3セット→5セットに増やす、といった変化を付けてやります。これはその人にとっては日常受けている刺激を超える刺激(=過負荷)なので、適応が引き起こされ筋量や筋力が向上することになります。
漸進性の原則
「漸進」という言葉を辞書で調べると「段階を追って少しずつ進んで行くこと」とあります。つまりトレーニングにおける漸進性の原則とは、「トレーニングの負荷を少しずつ増やしていく必要がある」ということです。
例えば、過負荷の原則にしたがってベンチプレスの重量を80kg→85kgへと増やすと、身体はその負荷に対して適応して筋力アップが起こります。しかし、それからずっと同じ85kgを扱っていたのではさらなる筋力アップは望めません。
筋力をアップを続けるためには、85kg→90kgに増やして、それができたら今度は90kg→95kgに増やして・・・というように、漸進的に負荷を上げていく必要があるのです。ただし、適応の限界を超えた大きすぎる負荷を与えてしまうと、オーバートレーニングになtってしまうこともあります。
あくまで「漸進的」に負荷を上げることが重要です、
トレーニングにおける過負荷の例
過負荷の例としては以下のようなものがあります。
- 挙上重量を増やす
- 1セットあたりの挙上回数を増やす
- セット数を増やす
- インターバルを短くする
- 可動域を広げる
- 頻度を増やす
「過負荷」というと重量や挙上回数を増やすことをイメージしてしまうかもしれませんが、インターバルを短くしたり、可動域を広げるということも過負荷に含まれます。
目的とした適応の種類(筋力向上、筋肥大、筋持久力向上等)によっていじるべき変数は変わりますが、それは「特異性の原則」というまた違う話になるので、それについては次の記事で話をしようと思います。