筋繊維の種類(速筋繊維と遅筋繊維)

筋肉というのは、筋繊維と呼ばれる繊維状の組織が集まってできています。筋繊維には速筋繊維と遅筋繊維の2種類があり、その名のとおり縮むスピードが速いのが速筋繊維、遅いのが遅筋繊維です。この記事ではこの2種類の筋繊維の特徴と違いについて詳しく解説していきます。

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筋繊維のタイプ

筋繊維には大きく分けて速筋繊維(タイプⅡ型)と遅筋繊維(タイプⅠ型)とがあります。まずはそれぞれの違いについて見ていきましょう。

速筋繊維(タイプⅡ型)

速筋繊維は素早く収縮できるため、瞬発力を発揮するときに使われます。無酸素運動の時によく使われ、色が白いことから白筋とも呼ばれます。筋トレにより筋肥大するのは主にこの速筋繊維です。

速筋繊維は正式には「タイプⅡ繊維」と呼ばれ、さらにⅡa、Ⅱb、Ⅱxなどの「サブタイプ」に分けられます。ヒトでは速筋繊維のほとんどがタイプⅡaとタイプⅡxで占められています。

タイプⅡx線維は、最もスピードがあり持久性に乏しい、いわば「純白筋」。白身魚の身が白いのこのタイプⅡx繊維が多いからです。

一方、タイプⅡa線維はスピードも持久性もそこそこ兼ね備えたオールマイティーな筋線維で、赤と白の中間である「ピンク筋」に相当することになります。

速筋繊維は筋肥大しやすく、陸上の短距離や投擲の選手など、速筋繊維が発達した人達は皆逞しい身体をしています。トップレベルのスプリンターでは速筋の比率が70~80%程度もあります。

遅筋繊維(タイプⅠ型)

遅筋繊維はゆっくり収縮するため、持久力を発揮するときに使われます。有酸素運動の時によく使われ、色が赤いことから赤筋とも呼ばれます。

遅筋繊維が発達した代表的な例はマラソンランナーですが、彼らを想像すると少し遅筋繊維に対して間違ったイメージを持ってしまうかもしれません。遅筋繊維は速筋繊維に比べると肥大しにくいですが、全く肥大しないということはないのです。

速筋繊維は遅筋繊維と比べて肥大するポテンシャルが50%ほど高いとする研究があります。[1] つまりは遅筋繊維にも速筋繊維の2/3ほどは大きくなる余地があるということです。

このことを示す良い例として、ボディービルダーは遅筋繊維の比率が高いという事実が挙げられます。ボディービルダー、ウェイトリフター、パワーリフターの筋繊維の構成比率を調べた研究[2]によると、ボディビルダーはウェイトリフティングなどの選手に比べると遅筋繊維の比率がはるかに多かったことが報告されています。

muclefibrestype

ウェイトリフター、パワーリフター、ボディービルダーの筋繊維タイプの構成比率。黒いグラフが遅筋繊維、白いグラフが速筋繊維。 出典「The role of resistance exercise intensity on muscle fibre adaptations. Sports Med. 2004;34(10):663-79.」

したがって、筋量を増やすことが目的の場合は、遅筋を肥大させることも重要だと考えられます。どのようなトレーニングが遅筋の肥大に有効かはまだはっきりと分かっていませんが、低重量のトレーニングで遅筋の肥大割合が大きくなったという研究結果[3]があります。比較的軽い重量で追い込むのが遅筋の肥大には有効なのかも知れません。

速筋繊維⇔遅筋繊維のシフトは起こるのか?

速筋繊維が遅筋繊維に変わったり、逆に遅筋繊維が速筋繊維に変わったりすることはあるのでしょうか。アスリートの中には、自分の競技に向いた筋繊維タイプにシフトさせることを望む人がたくさんいることでしょう。

しかし残念なことに、現状ではヒトにおいてはそういった筋繊維タイプのシフトは起こらないというのが定説となっています。つまり速筋繊維と遅筋繊維の比率は遺伝により決まっており、その比率は変えることは出来ないということです。

しかし、動物実験においては筋繊維タイプのシフトは確認されており、今後ヒトでも確認される可能性はあります。また、筋トレにより筋繊維を太くしたり神経系を改善することはできるので、筋力や持久力をある程度改善することは可能です。

例え生まれ持った資質に恵まれなかったとしても、諦めず努力は続けるべきです。

トレーニングによって速筋繊維はスタミナのある方に変化する

ヒトでは速筋繊維⇔遅筋繊維のシフトは確認されていませんが、速筋繊維のタイプには変化が起こることが確認されています。つまり「Ⅱx(白筋)⇔Ⅱa(ピンク筋)」の間でのシフトが起こるということです。

面白いことに、どんなトレーニングをしても筋繊維タイプは持久性の高い方向へとシフトする、つまり「Ⅱx(白筋)→Ⅱa(ピンク筋)」へとシフトすることが分かっています。

しかもこれはわずか数週間という短期間で起こるようです。被験者に6週間に渡るスプリントトレーニングを行わせた研究[4]で、「Ⅱx(白筋)→Ⅱa(ピンク筋)」へのシフトが起こったことが確認されています。

1回1回の動作は瞬発的でも、何度も繰り返すということは持久力が必要になるということでしょう。一般人はⅡx(白筋)とⅡa(ピンク筋)の比率は1:1~1:2程度と言われていますが、トップレベルのアスリートではほとんどがタイプⅡa(ピンク筋)になり、Ⅱx(白筋)の割合は限りなく0に近くなっているようです。

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