エキセントリック収縮とコンセントリック収縮

筋肉というのは縮む方向にしか力を発揮することができないことは既に説明しました。実はその収縮の仕方には「エキセントリック収縮」と「コンセントリック収縮」の2種類が存在します。

この記事では、その2つの違いについて詳しく解説していきます。

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コンセントリック収縮(短縮性収縮)

筋肉が短くなりながら力を発揮する収縮の仕方を「コンセントリック収縮」といいます。バーベルカールでいう、「重りを持ち上げる動作」のとき起きているのがコンセントリック収縮です。持ち上げる動作自体はポジティブレップとも呼ばれます。

これは主に物を投げたり、ジャンプで跳び上がったりという加速度を生み出すときに起こる収縮です。筋肉の収縮というと一般的にはこちらをイメージすると思いますが、筋肉にはもう一つ収縮の仕方があります。

それが次に紹介するエキセントリック収縮です。

エキセントリック収縮(伸張性収縮)

筋肉伸ばされながら力を発揮する収縮の仕方を「エキセントリック収縮」といいます。バーベルカールでいう重りを下ろす動作のときに起きているのがエキセントリック収縮です。下ろす動作自体はネガティブレップとも呼ばれます。

エキセントリック収縮は、主にブレーキをかけるときに起こる収縮です。例えば、ジャンプをして着地するときは、体重の5~10倍といった非常に大きな衝撃力が働きます。この力をまともに受け止めると体にとてつもないダメージが加わってしまうため、大腿四頭筋がブレーキをかけながら着地することになります。

このとき働く収縮の仕組みこそがエキセントリック収縮です。よく「膝で衝撃を吸収する」という表現が使われますが、実際には大腿四頭筋がエキセントリック収縮してブレーキをかけることで衝撃を吸収しているのです。

2つの収縮では使われている筋繊維の数が違う

実はコンセントリック収縮とエキセントリック収縮では、使われている筋繊維の数が違います。ダンベルカールを例に説明すると、持ち上げるとき(コンセントリック収縮)に80本の筋繊維を使っているなら、下ろすとき(エキセントリック収縮)は40本しか使っていない、というようにエキセントリック収縮では使われる筋繊維の数が間引かれています

一方で、トータルでは同じ力を出しているわけですから、エキセントリック収縮の時のほうが1本1本の筋繊維は大きな力を発揮しています。つまり、重りを下ろしているときというのは、「数少ない筋繊維が必死に頑張って、それでも耐え切れずに引き伸ばされている状態」なのです。

仮に挙げるときに80本使っていて、下ろすときに40本しか使っていないなら、下すときは1本1本の筋繊維には挙げるときの2倍の負荷がかかることになります。そのため、エキセントリック収縮では実際に働いてる筋繊維への刺激は非常に大きくなります。トレーニングにおいてはウェイトを下ろすときに力を抜かず、しっかりエキセントリック収縮のときに負荷をかけた方がトレーニング効果は大きくなります。

ネガティブ重視の方がトレーニング効果は高い

重りを上げるのは頑張るけども、下ろすときに力を抜いてしまっている人は多いのではないでしょうか。しかし、これは筋肥大を目的とするなら非常にもったいないことです。

2016年に行われた研究では、ネガティブを4秒かけて行うグループと1秒で行うグループに分け、8レップ×3セットのトレーニングを12週間行わせたところ、4秒かけたグループの方が筋量・筋力ともに大きく向上させました[1]。ネガティブ刺激は筋肥大における重要な要素なのです。

必ずしも4秒かける必要はありませんが、力を抜くことなくしっかりコントロールして重りを下ろすようにしましょう。

エキセントリック収縮は筋肉痛を引き起こしやすいが・・・

実は筋肉痛というのはほとんどの場合、エキセントリック収縮が原因で起こります。これは先ほど説明したように、エキセントリック収縮は無理やり筋繊維が引き伸ばされている状態であり、損傷の程度も大きくなるからだと考えられます。

したがって、ウェイトをやたらとゆっくり下ろして、ネガティブレップを重視したトレーニングを繰り返せば、簡単に筋肉痛を得ることができます。こうして得られる筋肉痛を、強いネガティブ刺激を与えられたという指標として考えるのは構いません。

しかし、だからといって「筋肉痛=筋肥大」と考えるのは少々短絡的すぎます。筋肥大を起こすために必要な要素はネガティブ刺激だけではないからです。いくつか必要な要素はありますが、その中でもボリューム*はかなり重要な要素だと考えられます。

*ボリュームとは「重量×挙上回数」のことで、トレーニングで行った仕事量に相当する概念である。筋量の増加はトレーニングのボリュームに比例する。[2,3]

ネガティブを重視したトレーニングは筋肉への刺激が大きい反面、次のセットで扱える重量が極端に下がり、トータルでのボリュームが低下してしまいます。

したがって、筋肥大を目的とするなら「ある程度のネガティブ刺激も与えつつボリュームを増やす」というのが最適な戦略だと考えられます。ウェイトを下ろすスピードは、普段のセットでは「コントロールして下ろす」程度にして、もし強いネガティブ刺激を与えたいのなら種目の最終セットにネガティブ重視のトレーニングを取り入れるとよいでしょう。

まとめ

ネガティブを重視したトレーニングは筋肉痛を引き起こしやすいですが、「筋肉痛=筋肥大」と考えるのはやめておきましょう。筋肥大に影響を与える要素はネガティブ刺激だけではないからです。筋肉痛はあくまで「筋肉に強いネガティブ刺激を与えられた指標」として受け止めるのが正解です。

筋肥大にはボリュームも重要な要素であることを考慮すると、ウェイトを下ろすスピードは、普段のセットでは「コントロールして下ろす」程度にして、最終セットにネガティブ重視のトレーニングを取り入れるというやり方が最も効果的だと考えられます。

ただしネガティブ重視のトレーニングは筋繊維へのダメージが大きく、回復に時間がかかるので、やりすぎにはくれぐれも注意するようにしてください。

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