目次
インターナルキューとエクスターナルキュー
キュー(cue)とは、日本語で「合図」の意味です。トレーニング中にどういう意識を持って動作を行うかという指示のことをキューと言います。キューはその性質によって2種類に分類されます。
インターナルキュー
インターナルキューとは、「力を発揮している筋肉を意識して動作を行うこと」を指します。筋トレにおいてよく言われる「筋肉に効かせる」という感覚はまさにインターナルキューです。
例:
- ベンチプレスのときに大胸筋に重みを感じながら挙げる。
- バーベルカールで上腕二頭筋の収縮を意識する。
- ジャンプするとき大腿四頭筋に思いきり力を入れて跳ぶ。
エクスターナルキュー
エクスターナルキューとは、「外から見て分かる変化を意識すること」を指します。
例:
- ベンチプレスでバーベルを「天井に向かって突き上げる」つもりで挙げる。
- スクワットで「床を踏み抜く意識」で立ち上がる。
- 立ち幅跳びをするとき「遠くを見る意識」で跳ぶ。
エクスターナルキューの方がパフォーマンスは向上する
多くの研究で、エクスターナルキューの方が動作のパフォーマンスを向上させるという結果が出ています。[1]
例えば、2013年に行われた研究では、エクスターナルキューを意識したグループではインターナルキューを意識したグループに比べ、垂直跳びの記録が約15~22%向上しました。[2]
別の研究においても、立ち幅跳びで6~14%ほどの記録の向上[3,4,5]、75%1RM(10RM)のベンチプレス、スクワットにおいて約1レップ記録が向上する[6]などの結果が得られています。
人間の身体というのは、無意識に最も効率の良い動き行うようにインプットされているのです。
「鍛えたい筋肉を意識すると効果が上がる」はウソ?
筋トレでは「鍛えたい筋肉を意識した法が効果が上がる」というインターナルキューを推す意見が多いですが、先述のように、エクスターナルキューの方がパフォーマンス向上には良い効果が得られます。
したがって、種目の記録向上が目的の場合はエクスターナルキューの方が有利です。また、研究では75%1RM(10RM)のベンチプレス、スクワットにおいてレップ数が伸びている[6]ことから、筋肥大の最も重要なファクターであるボリューム*を稼ぐのにもエクスターナルキューは有効だと考えられます。
*ボリュームとは「重量×挙上回数」のことで、トレーニングで行った仕事量に相当する概念である。筋量の増加はトレーニングのボリュームに比例する。[7,8]
一方で、自重種目ではインターナルキューの方が対象筋の筋活動が大きかったという研究結果[9]もあるので、自重トレーニングや軽い重量を用いたトレーニングでは対象筋を意識するのは有効かも知れません。
しかし、中~高重量を扱うウェイトトレーニングでは、基本的にフォームや身体の使い方などのエクスターナルキューを意識するのが良いでしょう。