トレーニングするとき、数ある種目の中からどの種目を選ぶかというのは常にトレーニーの悩みの種でしょう。
とりあえずコンパウンド種目とアイソレーション種目を組み合わせてみたり、なんとなく効いてる気がする種目を選んだり・・・といった感じで、特に明確な基準もなく種目を選んでいるトレーニーは結構多いのではないでしょうか。
筋肥大を目的にトレーニングしているのであれば、筋肉を様々な角度から刺激できる「POF法」を用いた種目選びをするのがおすすめです。
この記事ではそんなPOF方について詳しく解説していきます。
目次
POF法とは
POFとは、Position Of Flexionの略で「屈曲する位置」という意味になります。POF法は、関節のどの屈曲位置で最大の負荷がかかるかによって種目を3系統に分類する方法です。
その3種類とは「ミッドレンジ種目・ストレッチ種目・コントラクト種目」の3つです。POF法では、この3系統の種目をそれぞれ最低1種目ずつ行い、筋肉に多角的な刺激を与えていきます。
例えば、上腕二頭筋の種目は以下のように分類できます。
名称 | 最大負荷の位置 | 種目例(上腕二頭筋) |
---|---|---|
ミッドレンジ種目 | 可動域の中間 | バーベルカール |
ストレッチ種目 | 最も伸展したとき | インクラインカール |
コントラクト種目 | 最も収縮したとき | コンセントレーションカール |
順番としては、ミッドレンジ種目→ストレッチ種目→コントラクト種目の順番で行い、最後にコンタラクト種目で対象筋をパンプアップさせてその部位のトレーニングを終了します。
それぞれの種目の狙い
POF法で分類される3種類の種目のそれぞれの狙いを簡単に説明しておきます。
ミッドレンジ種目
POF法では、まずミッドレンジ種目で可動域全体を強く刺激します。この種目では最も高重量を扱うことができるので、筋肉に大きな力学的刺激を与えることができます。
ストレッチ種目
次のストレッチ種目では、最も伸展したときに最大負荷がかかるので、筋肉に大きなストレッチ刺激を与えることができます。ストレッチ刺激はタンパク質の合成を活性化させる*ため筋肥大に非常に効果的な刺激となります。
*ストレッチ刺激やネガティブ刺激はc-fos, c-jun, c-mycなどの転写調節因子発現を増大させる。これはタンパク質合成の上流に位置する反応である。
コントラクト種目
最後のコントラクト種目では、最も収縮したときに最大負荷がかかるので、毛細血管が強く押しつぶされて筋肉が一時的な貧血状態になります。これによりセットが終わったあと一気に血液が流れ込み激しいパンプを得ることができます。パンプするようなトレーニングでは化学的刺激が大きく、これも筋肥大にとって重要な刺激になります。
POF法がなぜバルクアップに効果的なのか
POF法がバルクアップにおいて効果的なのは、筋肉に多角的な刺激を与えることができるからです。1つの筋肉であってもその筋肉を構成する筋繊維の方向や長さは様々なので、可動域の使い方や負荷のかかり方が似たような種目だけでは全ての筋繊維に十分な刺激を与えることはできません。
その点POF法は、1つの部位に対して、負荷のかかり方の違う種目を3種目は行うことになるので、全ての筋繊維に強い刺激を与え筋肉をオールアウトさせることが可能です。
また、筋肥大させるためには、重いものを持ち上げるなどして筋肉に大きな力をかける「力学的刺激」と、重量は抑えて回数をこなしパンプアップさせる「化学的刺激」の両方を与えることが重要となります。POF法ではこのどちらの刺激もバランスよく筋肉に与えることができます。
POF法を用いた各部位のプログラム例
各部位のプログラム例を紹介しておきます。
対象筋 | ミッドレンジ | ストレッチ | コントラクト |
---|---|---|---|
大胸筋 | ベンチプレス | ダンベルフライ | ケーブルクロスオーバー |
三角筋 | バックプレス | インクラインサイドレイズ | サイドレイズ |
上腕二頭筋 | バーベルカール | インクラインカール | コンセントレーションカール |
上腕三頭筋 | ナローベンチプレス | オーバーヘッド・トライセプスエクステンション | プッシュダウン |
広背筋 | チンニング | プルオーバー | シーテッドローイング |
大腿四頭筋 | スクワット | シッシースクワット | レッグエクステンション |
これはほんの一例であり、最大負荷のかかる可動域が異なる種目の組み合わせならなんでもOKです。
まとめ
筋肉を様々な角度から刺激できるPOF法はバルクアップに非常に有効です。複数種目行う際は、基本的にはPOFを意識した種目選びをするとよいでしょう。
ただし、同じ種目であってもコントラクトを意識するかストレッチを意識するかによって効き方は変わりますし、可動域を狭く使う(パーシャル)か広く使う(フルレンジ)かによっても変わってきます。
種目選びも大切ですが、自分がどういう意識を持ってその種目に取り組むかということが一番重要です。トレーニングをするときは、「どの筋肉にどんな風に効かせたいのか」を常に意識するようにしましょう。
その際に「ミッドレンジ・ストレッチ・コントラクト」という概念はとても役立つでしょう。